無期雇用派遣 やめとけと言われる理由と実態を20代転職のプロが解説

無期雇用派遣という働き方に興味があるけど実際どうなの?無期雇用派遣で検索すると「無期雇用派遣はやめとけ」という記事が沢山出てくるけど本当のところどうなの?そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

当社は20代のキャリアサポートに特化した転職エージェント事業を運営している会社ですが、アパレル販売職や飲食業、ホテル業などサービス業から事務職への転職を目指す方のご相談を日々お受けしています。事務職を目指して転職活動しているけど面接がなかなか通らない…。希望する給与での事務職の求人がほとんどない…・事務職なら自分にもできると思って探しているのになぜか転職がうまくいかない…。

正社員で事務職を目指してみたもののなかなかうまくいかない。そんな方が興味を持つのがこの「無期雇用派遣」で事務職として働くという手段です。

正直、キャリアアップを目指してしっかり稼げるような自分になっていきたいという方には「無期雇用派遣」という働き方は当社ではオススメしていません。一方で、どうしても事務職がいい。キャリアアップは望まないからゆっくりとガツガツせずにワークライフバランスを重視して事務職に就きたいという方には、未経験から大手企業で事務職に就くことが出来るほぼ唯一の選択肢がこの「無期雇用派遣」という働き方です。

この記事では、そもそも「無期雇用派遣」とは何なのか?どんなデメリットやどんなメリットがあるのか?どんな人に向いているのか?を解説していきます。

<参考記事>
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目次

無期雇用派遣とは?

無期雇用派遣とは2015年の労働者派遣法の改正によって生まれたまだ比較的新しい働き方です。まずはこの「無期雇用派遣」という働き方はどんな働き方なのか?有期雇用派遣や正社員と何がどう異なるのか?について解説していきます。

無期雇用派遣とは、期間を定めずに働く常用型派遣のこと

無期雇用派遣とは、契約期間を定めずに派遣社員として働く仕組みの事を指します。正式名称は「常用型派遣」とも言いますが「無期雇用派遣」という言葉が広く使われています。派遣会社と期間を定めない雇用契約を結んでいることが大きな特徴です。働き方としては通常の派遣(登録型派遣)と同様に派遣会社から企業に派遣されて働く形となります。

「無期雇用派遣(常用型派遣)」と「有期雇用派遣(登録型派遣)」の違い

雇用期間を定めて派遣社員として働く「有期雇用派遣(登録型派遣」が通常皆さんがイメージする派遣の働き方になりますが、ここでは「無期雇用派遣」と「有期雇用派遣」の違いについて触れておきます。

無期雇用派遣と有期雇用派遣の特徴的な大きな違いは「雇用期間」と「給料の支払い方」です。

通常の派遣(有期雇用派遣)の場合、就業期間や更新頻度はそれぞれですが、雇用期間が定められており給与は時給制であることがほとんどです。就業していない期間や休日は給与の支払いはありません。一方で無期雇用派遣の場合、月給制なので休日や祝日の有無にかかわらず毎月決まった額の給与が支払われます。派遣先での就業が終了しても派遣会社との雇用契約が存在するため派遣先で働いていない期間(待期期間)も給与が支払われるのが大きな特徴です。

「無期雇用派遣」と「正社員」の違い

「無期雇用派遣」は派遣会社と期間を定めない雇用契約を結ぶため正社員と同様の雇用形態となります。しかし、派遣社員の給与・福利厚生は派遣会社の無期雇用派遣としての条件に準じますので派遣先の正社員とは大きく異なることがほとんどです。

また就業していない期間も雇用や給与を保証するというリスクを派遣会社が背負っている分、正直待遇や給与面では正社員と比較すると大きく見劣りするのが実態です。正社員同様の給与体系を求めるのではなく、派遣として働きながらも月額給与が保証されているという認識で捉えるのが正しい捉え方と言えます。

無期雇用派遣はやめとけと言われる主な理由3選

無期雇用派遣は「メリットがない」「やめとけ」というネガティブな意見もネット上にはたくさん存在します。ここでは、無期雇用派遣はやめとけと言われる主な理由について紹介します。

【理由①】就業先を選べない

無期雇用派遣はサービスを提供する派遣会社との雇用契約となるため、紹介される仕事は「配属先」という位置づけになります。事前に希望を伝えることは可能ですが、自分で配属先・勤務先を決定することはできません。

正社員に異動や転勤があるのと同じで、雇用されている派遣会社の指示には従う必要があります。場合によっては、希望に沿わない職場へ派遣される可能性もゼロではありませんが、これを断ることはできません。

ただ、無期雇用派遣の就業先は従業員規模の大きな大手企業が中心であり、自宅から通勤○時間以内などの規定も派遣会社が設けていますので通勤不可能な勤務地や、小規模な家族経営の会社で勤務する事はありません。

【理由②】面接・選考がある

無期雇用派遣で働く場合、派遣会社の社員として雇用契約を結ぶため書類選考や面接など派遣会社の採用選考を通過する必要があります。簡単な個人情報を登録するだけで働ける通常の有期雇用派遣(登録型派遣)のような気軽さや手軽さがないため、「派遣なのに落ちた」等ネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃいます。

派遣会社の選考があるとはいえ、決して採用ハードルは高くありません。しっかりと面接準備をして臨めば多くの場合で合格となりますが、最低限のマナーや言葉遣い、清潔感等を持ち合わせていないと残念ながらお見送りとなるケースもありますので注意が必要です。

【理由③】給与が低く上がらない

派遣として働きながら、月額制で給与が保証され賞与も支給、スキルアップの為の様々な研修も無料で受講が出来るなど様々なメリットがある無期雇用派遣ですが、一般的な正社員と比較すると給与は低めに設定されています。

東京勤務の場合、業界最大手のミラエールで月給20万円~。マイナビキャリレーションで20万8000円~。テンプスタッフが提供するファンタブルで21万3000円~となっています。それに加えて賞与が年1回~2回。昇給の仕組み等も用意されていますが、正直簡単には給与は上がらないのが実態です。

上記は東京勤務での参考例ですが、地方都市では月給16万1000円~などの地域もあり、税金や社会保険料を差し引くと手取り給与額はかなり低くなります。一人暮らしをしながら無期雇用派遣で働くのは正直かなりの節約が必要と言えるかもしれません。

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無期雇用派遣で働くメリット7選

ここまで無期雇用派遣のデメリットをいくつか紹介してきましたが、実はメリットも沢山あります。ここでは、無期雇用派遣のメリットを7つ詳しく紹介していきます。

メリット①未経験から事務職の実務経験が積める

無期雇用派遣(常用型派遣)を利用する一番のメリットは「未経験から事務職の実務経験が積める」ことです。

特に販売や接客などのサービス業に従事してきてOAスキルや事務作業の経験がほとんどないという方が事務職を目指すときに一番の壁となるのが「実務経験」です。経験ゼロから事務職の実務経験を手に入れる手段としては無期雇用派遣は唯一無二の手段という事が出来ます。

当社でもこれまで、アパレル販売やホテルスタッフ、携帯ショップスタッフ、飲食店スタッフ、調理師、保育士、パティシエ、ドラッグストア店員、コンビニ店員、化粧品販売、エステティシャン、美容師、コールセンタースタッフ、受付など、本当に様々な前職の方がOAスキルほぼなしの状態から事務職として実務経験を積むことに成功されています。

メリット②時給制ではなく月給制で働ける

派遣社員やアルバイト/パートとして働く際に最もデメリットとして挙げられるのが「時給制だから休みが続くと給料が下がる」といった「時給制」に対するデメリットです。祝日やGW休暇、夏季休暇、年末年始休暇など休みは嬉しいんだけど、働いてないと時給が発生しないので休みが続くと給与が下がって本当に困る。というのが派遣やアルバイト/パートで働く一番のマイナス要素ではないでしょうか?

無期雇用派遣(常用型派遣)では、月給制で給与が支給されますので祝日や長期休暇でお休みがあったとしても月額の給与は変わりません。その点は正社員と同様の給与体系となりますので派遣社員の最大のデメリットが払拭された仕組みと言えます。

メリット③賞与・ボーナスがある

派遣社員やアルバイト/パートで働いている方にとって「賞与・ボーナス」が支給されるというのはこの上なく嬉しい事なのではないでしょうか。業界最大手のミラエールでは年一回、マイナビキャリレーション・ファンタブルでは年2回ボーナスが支給されます。概ね給料1か月分程度なので決して額は大きいとは言えませんが、毎月の給与とは別に臨時収入としてボーナスが貰えるというのはやはりうれしいものです。

メリット④有名企業・大手企業で働くことが出来る

無期雇用派遣での就業先は、基本的には従業員規模の大きな大手企業での就業がほとんどです。

当社経由で過去に勤務された方では、大手電機メーカー、大手金融機関、大手電子機器メーカー、ITインフラ大手、通信キャリア大手、大手航空貨物会社、大手広告代理店、大手総合商社など誰もが知るような大手企業での勤務がほとんどです。

事務未経験から大手企業の事務職で採用されるのは極めて難易度が高いのが現実ですが、無期雇用派遣という制度を利用すればそれが可能になるという事は大きなメリットと言えます。

メリット⑤土日祝日休み・残業ほぼなし

無期雇用派遣最大手のミラエール公式ホームページには、ミラエール就業先の90%が土日休みのお仕事とあります。残業もほとんどないので、仕事終わりの予定も計画しやすい点が無期雇用派遣のメリットと言えます。

販売職や接客業に従事されていた方で土日休みの仕事に就きたいという想いを持つ方は非常に多いと思いますが、それを実現する転職先は営業職など比較的ハードな仕事に限定されるのが現実。無期雇用派遣であれば、土日休みたい&事務職でゆっくり働きたい。その二つを両立出来ます。

メリット⑥無料で各種研修が受けられる

販売職やサービス業から事務職転職を目指すうえで高い壁になるのが「スキル」の不足です。売場用の専用システムの入力作業はやっていたことはあっても、Excel・Word・PowerPoint・Access等の一般のアプリケーションを使った資料作成やデータ編集などはやったことがない。そんな方も多いと思います。

就業前のOAスキル研修や就業後の様々な無料講座で専門的な知識やスキルを学べることは、事務職としての実務経験を積みながらスキルを磨いていく事が出来る非常に贅沢な環境と言えます。

メリット⑦待機保証があり収入が途切れない

一般の登録型派遣では、派遣先との契約が終了し次の就業先が決まるまでの待機期間は給与は一切発生しません。労働時間に応じて給与が支払われる通常の登録型派遣では当然と言えます。

一方で無期雇用派遣では、派遣会社と雇用契約を結んでいるため派遣先の就業が終了して待期期間になっても給与は保証されています。派遣先の契約が切れて収入が途切れるという不安なく、安心して長期的で継続的な雇用と給与が保証されているというのは働く個人にとっては非常に大きな魅力と言えるのではないでしょうか?

無期雇用派遣の働き方が向いてる人はどんな人?

無期雇用派遣という働き方は、正直向いている人と向いていない人が明確に分かれる傾向があります。ここでは、どのような人に無期雇用派遣は向いているのか。また向いていないのか。について解説していきます。

無期雇用派遣に向いてる人

「未経験から事務職に転職する」ことを最も重視する方には、無期雇用派遣で事務職としてのスタートを切るのは唯一無二のチャンスと言えます。また、仕事内容やお金よりも趣味や私生活の充実を優先したいという方にも向いています。

<具体的にはこんな方>

向いてる方①

給与やキャリアアップ等よりも、とにかく事務職をやってみたい。

向いてる方②

土日休みで残業もしたくない。ワークライフバランス最重視。

向いてる方③

仕事よりも趣味の時間や自分磨きの時間を大切にしたい。

向いてる人④

一度でいいから大手企業のオフィスでオフィスワークしてみたい。

無期雇用派遣に向いてない人

「事務職でキャリアアップしたい」という方がいらっしゃいますが、正直事務職の実務経験を積むことはキャリアアップとは言えません。事務職は正直企業からすれば替えが利く職種の代表格ですので、正社員であれ無期雇用派遣であれ給与が上がっていくような仕事ではありません。20代の間にしっかりキャリアアップしていきたい。キャリアの幅を広げておきたい。将来的にはしっかり稼げるようになりたい。そんな想いをお持ちの方にとって、正直無期雇用派遣や事務職という選択肢は向いていないと言えます。

<こんな方には向きません>

向かない方①

販売や接客の経験を少しでも生かしてキャリアアップしていきたい。

向かない方②

将来結婚や出産でブランクがあっても、しっかり社会復帰できるキャリアを20代の間に積んでおきたい。

向かない方③

20代の間に自分の市場価値を高めてしっかり稼げる仕事に就きたい。

無期雇用派遣以外の選択肢も考えてみる

ここまでご紹介してきた通り、無期雇用派遣という働き方にはメリットもデメリットも存在します。未経験から大手企業で事務職として働くことが出来るという点においては非常に魅力的な制度と言えますが、長い目で見て市場価値を高めていく働き方とは言えない側面も正直あります。

無期雇用派遣に絞って転職活動を行うのではなく、ご自身の今後のキャリアプランやありたい自分の姿をしっかりとイメージしたうえで無期雇用派遣が本当にベストな選択なのか?を考える必要があります。

ここでは、無期雇用派遣で働く以外にどのような選択肢が考えられるのか?を3パターンご紹介します。

事務職以外の仕事も視野に入れてみる

土日勤務で販売./サービス業に従事されていた方の多くは、転職にあたり「とにかく土日休みたい」「オフィスワークがしてみたい」「販売接客の経験しかない自分が出来る仕事」そんな風に考えてなんとなくのイメージで事務職を希望されます。

しかし事務職という仕事の競争率の高さや、市場価値の低さ=給与の低さなどの実態を知り、事務職ではなくよりキャリアアップやスキルアップに繋がる別の職種に切り替えて転職活動を再スタートされる方も多くいらっしゃいます。

自分が本当に求めている環境はどんな環境なのか?20代の間にどのような自分になっておきたいのか?カウンセリングを経て自分のキャリアイメージをしっかり固めなおしてみると自分の希望は事務職ではない。そんな結論にたどり着く方も多いです。それでは販売/サービスの経験しかしていない自分にどんな選択肢があるのか?同世代の女性はどのようなキャリアを選択しているのか?等、詳しく聞いてみたい方は是非お気軽に当社のキャリアサポートをご活用ください。

正社員で転職できる事務求人を探す

事務希望で登録しているのに営業や販売の求人ばかりスカウトオファーが届く。大手求人サイトで事務求人を探してみてもいい求人がほとんど乗っていない。そんな現実を目の当たりにして事務職への転職を諦めてしまう方も多いのではないでしょうか。

実は未経験歓迎の事務求人は世の中には多数存在しています。しかし前述したように、事務求人は非常に人気が高く応募が集まりやすい求人の為、掲載費用の高い求人サイトや多額の紹介費用が発生する転職エージェントを活用して募集しなくても採用できてしまうためあまり表には出てこないのです。

例えば無料で求人募集が出来るハローワークやIndeedには、地場中小企業などの事務求人が多数存在します。大手でなくても、給与が低くても、家族経営のような小さな会社でも構わないからどうしても正社員で事務職になりたい。という方は、求人の探し方を変えれば見つかる可能性があります。

紹介予定派遣を活用して事務の正社員を目指す

どうしても正社員で大手企業の事務職になりたい。という方には、紹介予定派遣で事務職に挑戦するという選択肢もあります。紹介予定派遣とは、近い将来の正社員雇用を前提として、まずは派遣で働いてみて適性を判断し問題なければ正社員として雇用するという派遣制度です。

正直、無期雇用派遣よりも採用ハードルはグッと上がりますし、派遣期間中は時給制での勤務となるためリスクもありますが、未経験からいきなり正社員で大手企業の事務職に就くよりかは現実的かもしれません。

Pomto㈱の女性向けキャリア支援サービス

私たちPomto㈱は20代のキャリア支援に特化した転職エージェントです。その中でも20代女性のキャリアサポートを専門に行う「キラキラ転職Room」というキャリア相談サービスを提供しています。

事務職になりたいのにうまくいかない。そんな相談で来られた方もよくよく話を聞いてみると「事務職」にこだわっているわけではなく、本当は土日休みのオフィスワークに憧れを持っており事務職以外での職種で転職活動に切り替える方も多いです。

販売職で土日も休みなくずっと体に鞭打ってきたので少しゆっくり働きたい。心からそう思って仕事探しをされている方には、この記事でご紹介した無期雇用派遣で大手企業の事務職に転職するサポートも実施しています。ご相談に来られる方の本当の心の声を聴き、モヤモヤを解消し、今の自分にとって本当にベストだと思える選択肢をご提案する事を私たちは大切にしています。

「事務職に転職したい。」その想いの背景にある本当の心の声を聴き、最適な解決策をご提案する事を私たちは心掛けています。「事務職に転職」はゴールではなく、あなたがあなたらしく生きていく為のひとつの手段であるはずです。

もし自分の未来に少しでもモヤモヤした不安や想いがあれば、あなたが求めている未来を一緒に探すお手伝いをさせてください。

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この記事を書いた人

10年間のリクルート在籍中に約3000名の方の面接を担当。
リクルートの面接の特徴や求める人物像を熟知し面接対策を実施しています。
リクルート各領域の人事との太いパイプを活かした様々な交渉も行います。

☆キャリアコンサルタント国家資格保有
☆GCDF-JAPAN公認キャリアコンサルタント

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