オンライン面接で変化したコミュニケーションモデル

関西の緊急事態宣言が解除されました。
この2カ月間で転職市場・採用市場に於いて一気に進んだのがオンライン面接です。

WEB面接とかZOOM面接とかオンライン面接とかいろんな呼び名はありますが、対面で話すことが当たり前だった「面接」が、オンラインで完結するようになりました。これまでもオンラインでの面接はありましたが、最後はやっぱり会って採用を決めたい。結局会わないと人物の見極めはできない。そんな当たり前が暗黙の了解で存在した採用市場に於いては、かなり大きなインパクトと言えると思います。

私たちが実施するキャリア面談や面接対策でもZOOM等のオンラインツールを活用してオンライン面談・オンライン面接対策を行う機会が増えましたが、実際にやってみると面接に求められるコミュニケーションのモデルが明確に変わったことを感じるようになりました。

簡単に言うと、プレゼンスキル (説明する力)や読解力(求められている事を理解する力)が、対面での面接時よりも高いレベルで求められるようになったと感じます。

対面での面接では、どちらかというとコミュニケーションは相互に協力しながら創り上げる、補完し合うコミュニケーションでした。相手の話しに相槌を入れたり、会話のほんの少しの隙間に割って入って確認の意味での質問を挟んだり。話者と質問者が常に小刻みに入れ替わりながら会話が進行していく。これが優れたコミュニケーションのモデルでした。

一方オンラインでは、話者が明確に決まっています。

いま誰が話すターンなのか。が明確で、話すべき内容に対して話しきるまで、聞き手は待ちの姿勢を取ります。イメージは国会での審議です。質問者が質問席で政府に質問して、担当大臣が回答席で質問に回答する。質問者の意図をくみ取って、的確に分かりやすく回答を述べる。この繰り返しです。

実際に数えたわけではありませんが、対面での会話であれば100回話し手と聞き手が入れ替わっていたとすると、同じ時間話してもオンラインだと30回から40回の話し手変更で完了してしまうイメージです。

その分話し手が1回あたりに話す時間とボリュームが大幅に増しているという事になります。

面接官の質問に対して的外れな回答や関係のない話しをし始めてしまうと、面接官は延々と長時間興味のない話しを聞き続ける。という事態が発生します。

つまり、オンライン化で小刻みな会話の往復がなくなった事で、「ひとつのテーマをある程度まとめて一人で分かりやすく話し切るプレゼンテーションスキル」と「何を回答すべきなのかを理解する会話の読解力」がこれまで以上に求められるようになっています。

逆に、「傾聴力」を強みにコミュニケーションを成立させてきた方は、オンライン面接では苦戦する可能性が高いです。

面接だけではなく、営業現場で今後オンラインでの商談が一気に増加する事が予想されますので、恐らく営業に求められるコミュニケーションのモデルも今後大きく変わっていくと思います。

相槌や質問が絶妙に上手くて、相手に気持ちよく話しをしてもらう事で信頼構築していく営業スタイルは、恐らくオンラインでの商談が主流となった時代には成果を出しにくくなります。逆に、相手が知りたい情報を分かりやすく端的に説明できるスキルが重宝され始めます。当然面接で評価されるコミュニケーションも後者のモデルとなります。

オンライン面接の対策として、ジェスチャーを大げさにしようとか、照明を明るくしようとか、目線に気を付けようとか極めて表面的な注意点はよく見かけますが、根本的なコミュニケーションのモデルが変わった事を言及しているアドバイスは少ないような気がします。

オンライン化が進んだことで、これまで雰囲気や小手先のテクニックで話し相手の力を借りてコミュニケーションを成立させていた方は力を発揮しにくくなり、論理的に分かりやすく物事を説明できる人が力を発揮しやすくなると思います。

つまりシンプルに言うと、論理的に物事を理解する算数力、言葉選びや文章力や言語化能力といった国語力という基礎的な能力の有無がオンライン面接で表面化してしまうという事です。

対面での面接と、オンラインでの面接では明らかに求められるコミュニケーションの質が異なります。その違いを理解して面接に挑むように注意してください。という話しでした。

これから面接に挑む方は参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

10年間のリクルート在籍中に約3000名の方の面接を担当。
リクルートの面接の特徴や求める人物像を熟知し面接対策を実施しています。
リクルート各領域の人事との太いパイプを活かした様々な交渉も行います。

☆キャリアコンサルタント国家資格保有
☆GCDF-JAPAN公認キャリアコンサルタント

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